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【読書メモ】うとうやすかた
2010-03-15 Mon 07:10
 「陸奥の外の浜なる呼子鳥鳴くなる声はうとうやすかた(伝藤原定家作)」と詠われた「善知鳥(うとう)」。伝説の鳥といわれていたが、現実にもいる。ただ、親鳥が「うとう」というと子鳥が「やすかた」と言うことはないらしい。
 この伝説から謡曲「善知鳥(うとう)」が作られた。

鹿を逐ふ漁師は、山を見ずといふ事あり。 身の苦しさも悲しさも、忘れ草の追鳥、高縄をさし引く汐の、末の松山風荒れて、袖に波超す沖の石、または干潟とて、海越しなりし里までも、千賀の塩竈身を焦がす、報ひをも忘れける、事業をなしし悔しさよ。そもそもうとう、やすかたのとりどりに、品変りたる殺生のなかに無慚やなこの鳥の、おろかなるかな筑波嶺の、木々の梢にも羽を敷き、 浪の浮巣をも掛けよかし、平沙に子を生みて落雁の、はかなや親は隠すと、すれどうとうと呼ばれて、子はやすかたと答へけり、 さてぞ取られやすかた。
 うとう。
 親は空にて、血の涙を、親は空にて血の涙を、降らせば濡れじと、菅蓑や、笠をかたぶけ、ここかしこの、便りを求めて、隠れ笠、隠れ蓑にも、あらざれば、なほ降りかかる、血の涙に、目も紅に、染めわたるは、紅葉の橋の、鵲か。娑婆にては、うとうやすかたと見えしも、うとうやすかたと見えしも、冥途にしては化鳥となり、罪人を追つ立て鉄の、嘴を鳴らし羽をたたき、銅の爪を磨ぎ立てては、眼を掴んで肉を、叫ばんとすれども猛火のけぶりに、むせんで声を上げ得ぬは、鴛鴦を殺しし科やらん。逃げんとすれど立ち得ぬは、羽抜け鳥の報ひか。うとうはかへつて鷹となり、われは雉とぞなりたりける、遁れ交野の狩場の吹雪に、空も恐ろしい地を走る、犬鷹に責められて、あら心うとうやすかた、安き隙なき身の苦しみを、助けて賜べや御僧、助けて賜べや御僧と、言ふかと思へば失せにけり。(地唄)

 (解説)能の「善知鳥」から取ったもので、陸奥外の浜への途次、立山に立ち寄った僧が、地獄そのままのような恐ろしい光景を見て下山すると、一人の老人が現れ外の浜で亡くなった猟師の遺族を訪ねて、自分を供養するよう伝言して欲しいと言い、これを証拠にと着衣の片袖を引きちぎって渡し姿を消す。僧は外の浜でその妻子を訪ねる。残されていた衣に袖はぴたりと合った。弔いを受けて猟師の亡霊は姿をあらわす。子の鳥を殺した報いで、我が子の髪をなでようとしてもはたせない。親が「うとう」と呼べば子は「やすかた」と答える。子の鳥の習性を利用して猟をしていたこの者は、生前の所業を再現して見せた後、地獄の責め苦として、雉になった自分が鷹になった善知鳥に追われ逃げ惑う姿を見せて、僧に助けを乞う。

 子鳥を奸計によって、捕らえられ殺された親鳥が化鳥となって、漁師を罪びととして責めたてる。津軽での話。
血の雨に濡れじと笠や蓑を傾けしも間にあわずここあちらと逃げ惑えども血の雨は降り止まず。
くろがねの口ばしを鳴らし、羽を叩き、あかがねの爪を研ぎたてて、眼を掴まれ肉を裂かれ、叫ぶとすれど猛火の煙、逃げんとすれど立つこともならず、空に鷹、地に犬の狩場の生命さながら。
」という凄まじさだ。

 気持ち、分かるよ、善知鳥(うとう)くん。善知鳥とは善きことを知らせる鳥という意味のようで、元々は気立てのよい親子の絆のとても強い鳥だということだ。



(室町時代の津軽海峡冬景色だ)
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